ベントレーへの誘い Vol.05 ベントレーモーターズジャパン マーケティング?PR&アカデミーマネージャー 橫倉典

ベントレーへの誘い Vol.05

ベントレーの目指すSDGs

「速い車、良い車、クラス最高の車」
これはウォルター?オーウェン?ベントレーが1919年に創業して以來、掲げてきたベントレーのクルマ作りのモットーである。

近年のベントレーにおいて、そこに加わった新たなテーマがSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)だ。

すでに20年近くにわたってベントレーの環境への様々な取り組みは始まっているのだが、具體的にどのようなことが行われ、どういう未來を見據えているのか、ベントレーモーターズジャパンでマーケティング?PR&アカデミーマネージャーを務める橫倉典さんに話を聞いた。

「たとえば2009年、まだコンチネンタル?シリーズにW12気筒しかなかった時に、ベントレーとして2012年までにCO2排出量の40%削減を宣言したことがありました。その回答がフレックスフューエルの採用やV8シリーズの導入だったわけですが、実は今の12気筒も改良が進んでいてかつてのモデルからは30%程度のCO2排出量の削減を実現しているんです。このようにクルマ自體の効率、環境対応は進んでいるのですが、ここ數年は特にそれ以外の環境などの整備も加速しています。」

カーボンニュートラルへの取り組み

では、これまでベントレーが行ってきた様々な取り組みを振り返ってみることにしたい。

1997年のCOP3で京都議定書が採択されたのをきっかけに、溫室効果ガスの排出削減が叫ばれはじめると、大型の高級車というイメージが強かったベントレーもいち早く、1940年臺から続く歴史あるクルー本社工場を殘しつつ、工場のエネルギー効率向上と、CO2排出削減を推し進めようとする活動を開始。1999年にはイギリスの自動車メーカーとして初めて環境マネジメントシステムに関する國際規格ISO14001、2011年にはISO50001を取得している。

「自動車自體の環境性能もそうですが、工場の環境対策、そして周辺地域、住民への配慮、生態系の保護もしましょうというのが我々の考え方です。以來、リサイクルと生物多様性を中心に、廃棄物やエネルギー、水の使用量を削減することなどに継続的に取り組んでいます」

橫倉さんによると、具體的にはペイントショップで使用する水のリサイクルシステム、施設の維持管理にしようする雨水貯留システムの導入によって、クルマ1臺あたりに使われる水の量を2000年と比べ89%も削減したほか、駐車場にイギリス最大規模の太陽光パネルを設置。その枚數は2020年現在でイギリス國內でも最大級の3萬815枚にまで増え7.7MWと、一般家庭1750軒分の総エネルギー量を供給しているという。

これらの努力によって、工場でのエネルギー消費量を54%、取水量を47%、廃棄物処理量を98%削減してきた成果を受け、カーボントラスト社からPAS 2060カーボンニュートラル認証を得ることにも成功している。現在、工場で使われる電力はソーラーパネルによる発電とグリーン電力証明の購入によって100%賄われている。

そのほかにも2019年の100周年を記念して本社敷地とチェシャー州に100本の苗木を植樹。また生物多様性を高めるために、50m四方の壁に地元の2600種類以上の植物を植えた“グリーンウォール”や、30萬匹のミツバチをクルー本社の巣箱で飼育する“Flying Bee”と呼ばれる養蜂プロジェクトを始動するなど、地域ぐるみの環境活動を熱心に進めているのである。

次なる100年を目指して

そうした姿勢をさらに一歩推し進める施策として、2020年11月にエイドリアン?ホールマークCEOが発表した戦略が“Beyond 100”だ。

「ベントレーの打ち出した次なる100年の戦略“Beyond100”では、サステイナビリティが大きなテーマになっております。大きなクルマはとかく燃費が悪く地球環境にやさしくないというイメージを持たれがちですが、このプロジェクトを通してラグジュアリー?モビリティのグローバルリーダーを目指したいと思っています」

Beyond 100は次なる100年を目指して事業全般、プロダクト全般を見直して、組織をあげてエンドtoエンドにおけるカーボンニュートラルの達成を目指す中期計畫だ。その最大の目玉が、2026年までに販売する全車種をプラグインハイブリッドカーとバッテリー電気自動車(BEV)に切り替え、2030年までに全ラインナップをBEVに統一するということだ。

そうした方向性を示す1つが、ベントレー創業100周年を記念して発表したフルEVのラグジュアリーカーのコンセプト、EXP100GTだと橫倉さんはいう。

「覚えていらっしゃると思いますが、EXP100GTはリバーウッドと呼ばれる湖底から採掘した5000年前の木材や、米作りの副産物のもみ殻の灰を、再生して作られた“コンパス”というカラーの塗料や、ワインの醸造プロセスで生まれるブドウの搾り粕などによる100%オーガニック素材を使ったインテリアなど、再生可能なマテリアルを使っていました。このようにメカニズムだけでない部分でもサステナブルの追求が行われているのです。また、水素化処理された廃植物油から作られたグリーンD+と呼ばれる代替燃料を工場內の大型輸送車両に使う試みも始まりました」

すでに本國では初代ベンテイガにPHEVが用意されるなど、電動化への歩みは著実に進められているが、2025年にはベントレー初のフルEVモデルがリリースされ、真の意味での “サイレントスポーツカー”が実現することとなっている。

21世紀のラグジュアリーモビリティ

しかしベントレーが目指すのはそこだけに止まらない。

「クルマや環境だけでなく、持続可能なビジネスモデルも必要だということで、事業全體の生産性を迅速に向上させつつ、社內の構造改革に取り組み、財務面でのレジリエンスを維持することです。復元力とか回復力と訳されることが多いですが、COVID-19の影響で世界的な変革期を迎えている中でも耐えうる、しなやかな強さとでも言いましょうか。さらにベントレーのあるチェシャー州の大學などと協力して人材の育成に努めたり、管理職のダイバーシティを2025年までに引き上げることも目標としています」

加えてこれからのデジタル化に備えてクルー本社に新たな車両テストセンターとローンチクオリティセンターが建設されるほか、一人一人のお客様に全方位的なカスタマーエクスペリエンスを提供できる、新しいコネクテッドサービスネットワークも構築中だという。

今から100年以上前、ウォルター?オーウェン?ベントレーは「速い車、良い車、クラス最高の車」を目指して、當時としては先進的な様々な新基軸を用いたクルマを作り、その目標を達成した。そして今、ベントレーは21世紀をリードする「速い車、良い車、クラス最高の車」を目指して、どこよりも先進的で困難な課題に取り組んでいる。

「ある意味でW.O.ベントレーのスピリットが、姿を変えて今も受け継がれている証と言えると思います。ガソリンエンジンからモーターになっても、ベントレーは皆さんの期待に応える新しいラグジュアリーモビリティを提供し続けていきます」

ベントレーモーターズジャパン
マーケティング?PR&アカデミーマネージャー
橫倉 典

2006年からベントレーの広報、マーケティング、トレーニングを擔當。長年攜わってきてベントレーに感じる魅力は「“挑戦”や“冒険”の歴史を積み重ね、常になにかにチャレンジしているブランドであること。そして、そのチャレンジがこれ見よがしではなく、さりげなく行われているところですね」と語る。個人的に理想のベントレーは、最新のコンチネンタルGT V8コンバーチブル。「カラーはジェットストリームでブラックスペシフィケーションと外裝同色のクロスステッチを付けたいですね」